秘密の地図を描こう
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夜明けとともにザフトの攻撃が始まった。
「……カガリ?」
その報告に、キラは彼女の顔を見る。
「すぐに出撃をする。ついでに、ユウナ・ロマも排除するさ」
彼女はすぐにこう言い返してきた。
「オーブ軍さえ掌握できれば、戦闘を終わらせることも可能だろう」
そんな彼女の反応に、キラは違和感を覚える。
「カガリ?」
事前に知っていたのではないか。言外にそう問いかけた。
「……とりあえず、最低限の取引はした。セイラン関係の施設以外攻撃しないと」
この時間であれば、被害は最低限ですむはずだ。彼女はそう付け加える。
「モルゲンレーテ経由で、関係者には避難勧告を出しておいたわ」
そう言ってきたのはマリューだ。
「……マリューさんも知っていたんだ……」
と言うことは、当然、ラクスもだろう。
「仕方がありませんわ。キラはお忙しかったのですもの」
柔らかな笑みとともに彼女はそう言ってくる。
「キラしかできないお仕事でしたでしょう? ですから、ニコルに協力していただいただけですわ」
さらにニコルまでもが協力していたのか、とため息をつく。
「……あきらめろ」
バルトフェルドがこう言ってくる。
「そうだね。カガリ嬢が決断して、他の女性陣が賛成したのなら、従った方がいいだろう」
さらにラウまでもがこう言ってきた。
「それよりも、早々に軍部だけでも掌握した方がいいのではないかね?」
ジプリールの拘束にしても、ザフトと交渉するにしても自分達だけでは難しいのではないか。ラウはそう告げる。
「そうかもしれませんが……」
何か、疎外感を感じてしまう。
「……また、余計な事をを考えてない?」
キラの表情から何かを察したのか。ミリアリアがこう問いかけてくる。
「別に」
即座にそう言い返すが、その程度でごまかされてくれる相手ではない。
「……考えていた訳ね」
ため息とともにこう言ってくる。
「キラ……別に、お前をのけ者にしたわけじゃない。本当に、忙しそうだったから、よ」
適材適所という言葉もあるでしょう? と彼女は付け加えた。
「……でも」
「いいから、いいから。それよりも、連絡が入っているわよ」
あれから、と彼女は少しいやそうな表情を作ると言葉を口にする。
「あれって、アスラン?」
それだけでわかってしまうのはいいのだろうか。ちょっと自分でも悲しくなってくる。
「……アスランがなんだって?」
しっかりとそれを耳にしたのか。カガリが口を挟んでくる。
「わからないわ。ただ、通話の許可を求めいるだけで」
どうする? とミリアリアが問いかけてきた。
「どうすると言っても……無視していいのかな?」
それはそれで厄介なような気がするが、とキラは言い返す。同時に、どこかごまかされてしまったような気もしなくはない。
「正式にはできない話を伝えてくるつもりなのかもしれないね」
ラウが苦笑とともに言葉を口にした。
「……そうだな。仕方がない。出てやれ、キラ」
カガリもそう言ってくる。
「……そうだね」
キラは渋々ながらうなずいてみせた。
「じゃ、つなぐわね。むかついたら、途中できるかもしれないけど」
いいわよね、と言うミリアリアに、カガリが即座に「許可」と言い返している。
「いいのかな」
それにこう呟くしかないキラだった。